小説家の佐治は、友人の津田から、 「自分たちはフィクションの存在であり、佐治は主人公であること」 『残像に口紅を』より(寺田浩晃/筒井康隆) 「この世界はこれから文字(ひらがな)が1文字ずつ消えていき、 文字の消失・言葉の消失に伴って概念や存在も最初からなかったことになる世界であること」 を告げられる。 佐治の周りからは、消えていった文字を含むものが、家族さえも消えていき、佐治が語る上で使える言葉も少なくなっていく。 という、不条理SF。 作者自身も、少しずつ使える文字が減っていく中で物語を進める実験に挑戦している、極めてメタフィクションで実験的な作品。 『残像に口紅を』より(寺田浩晃/筒井康…