オベリスク。一例が本書の表紙に映っている。「細長い柱のような四角錘の上にピラミッド状の四角錘(ピラミディオン)が乗る形状」(本書、p5)の建物だ。もともと古代エジプトでさかんに作られたもので、花崗岩の一枚岩を切り出したものだ。大きいものは数十mの高さがあり、その形と大きさに驚かされる。 西洋からみた東洋の文化的イメージを対象とする「オリエンタリズム」への関心から、インドにおける東洋学の始祖といえるウィリアム・ジョーンズの墓を詣でたとき、著者はオベリスク状の墓石に強い印象を受けた。それ以来二十年近くにわたり、古今東西のオベリスクをめぐる旅に出ることになった。その経緯をくわしく記したのが本書である…