『この星を離れた種族』/パク・ヘウル 著/廣岡孝弥 訳/inch magazine/2024年刊 いまさらの話題になってしまうけれど、今年最初の読書はインチマガジンというインディペンデント・レーベル発行の『この星を離れた種族』だった。大晦日に実家に向かう電車の中から携帯端末で注文したところ、その三日後に数枚の年賀状と一緒にポストに届いていた。お正月を過ごす間には他の文庫本を読んでいたのだが、今年最初に届いた本、もっと言えば「今年最初に気に入った本」がこの小冊子だった。 「鉄の種族」「ゆりかご惑星」の2篇が収められたSF短編集で、まず装丁がとても良い。上着のポケットに入れて持ち歩ける大きさで、ブ…