ミステリで最初に犯人が明かされ、主に犯人の視点で物語が展開されていくタイプのもの。アリバイ崩し。
一般にはテレビドラマ『刑事コロンボ』『古畑任三郎』でおなじみ。
普通のミステリーは、まず事件が起り、警察あるいは探偵役が捜査に乗り出し、犯人の行動や動機を推理して事件を解決する。しかし、倒叙もののミステリーでは、まず、前半で犯人が完全犯罪を計画する形であらかじめ手の内を明らかにする。その後、計画を実行し、それが成功したかに見えた時点で、今度は逆に警察や探偵の側が捜査を開始して、犯行を暴き、事件を解決する。つまり、ストーリーの展開の仕方が普通のミステリーとまったく逆なので、倒叙とか、倒叙推理小説というわけである。(権田萬治・新保博久監修『日本ミステリー辞典』より)