中高生の頃、赤川次郎やライトノベルは、友達に借りたりもして一時はまっていた頃もあったが、本格的に現代ミステリー小説なるものを手にとったのは、20代に読んだ宮部みゆきの「火車」が初めてだった。 1990年代、クレジットカードが普及してまだ間もない頃、カード破産や多重債務について、それほど世間で知識を備えている人がいなかったように思う。 休職中の刑事・本間は、銀行員の従弟から、失踪した婚約者・関谷彰子を探してほしいと言われ、彼女の行方を捜すことになる。従弟である和也の話では、彰子にクレジットカードの作成をすすめたところ、審査段階で自己破産経験者だとわかった。その真偽を確かめる間もないまま、彼女は失…