『土井善晴さんちの「名もないおかず」の手帖』/土井善晴/講談社+α文庫/2015年刊 レシピ本大賞というものが気になっている。今年はどの本が受賞するんだろうかと気にしているのではなくて、そのあり方が気になる。本屋大賞と比べて知名度も影響力も低い(ように見える)し、毎年9月の発表・授賞式もいまひとつ盛り上げりに欠ける(ように見える)のは、どうしてなんだろうかと。 本屋大賞の設立は2004年。全国の書店員が「一番売りたい本」に投票するという選考方式は、従来の文学賞にはない明るさと新しさがあった。第一回を小川洋子さんの『博士の愛した数式』が受賞して「やっぱり書店員さんは良い小説を選ぶなあ」と思ったも…