『「本が売れない」というけれど』/永江朗/ポプラ新書/2014年刊 引越しに向けてなるべく本を減らそうと思ったときに、比較的早く整理が進んだのは新書だ。文庫本や単行本と比べると、新書には時流がより濃く反映される傾向がある。少なくとも私が持っていた新書については、買った当時の好奇心は満たされたと確認したうえで、この先再読する可能性は低いと思われるものが多かった。 もちろん例外もあって『「本が売れない」というけれど』はその一つ。タイトルどおり、1990年代以降の日本の出版事業が「不況」と言われている状況について、客観的なデータを分析し個人的な体験を交えながら整理した内容だ。例えば、書籍の販売額と雑…