最近の私は、北井さんのブログで晩年のKKを中心に他方面にわたって批判的検討が行われているのを読んで、KKの著作を読む気持をほとんど失っていました。かつてあれほど尊敬し、一生懸命学んできたKKの衰退を感じることが辛かったのです。 そういう私ですが、最近発行された『ナショナリズムの超克』の「一九九二年、黒田寛一の思想的逆転回」(椿原清孝)を読み、「違うではないか、黒田よ!」という筆者の叫びに心を動かされ、私自身、なんとか「世紀末の思想問題」と対決する気力を奮い立たせました。以下、私の感じたことを記します。 実践的立場の消失 それは、この論文にはソ連邦崩壊以後の「世紀末」の危機的階級情勢を何とか突破…