「アメリカに生まれていたら楽しかっただろうな」 かつて私の友人がそんなことを言った。私は同意した。私は中学生だった。毎日がどうしようもなくつまらなかった。引っ越し先の街にも学校にもなじめなかった私は親に命じられるままに中学受験をしたのだけれど、中学校も別にたいしたものではなかった。 小学校時代、同級生の野蛮さにはいらいらしていた。誰かをいじめたり、けんかや万引きを自慢しているのを見て、早く中学校に行きたいと思った。中学受験をすればこんな環境とはおさらばできて、もっと知的で教養のある友人に出会えるのだと思っていた。でもそれは間違いで、場所が変わっても同世代は馬鹿だった。教室を駆け回る彼らを見て、…