小君を車のあとに乗せて、 源氏は二条の院へ帰った。 その人に逃げられてしまった今夜の始末を源氏は話して、 おまえは子供だ、やはりだめだと言い、 その姉の態度があくまで恨めしいふうに語った。 気の毒で小君は何とも返辞をすることができなかった。 「姉さんは私をよほどきらっているらしいから、 そんなにきらわれる自分がいやになった。 そうじゃないか、 せめて話すことぐらいはしてくれてもよさそうじゃないか。 私は伊予介よりつまらない男に違いない」 恨めしい心から、こんなことを言った。 そして持って来た薄い着物を寝床の中へ入れて寝た。 小君をすぐ前に寝させて、恨めしく思うことも、 恋しい心持ちも言っていた…