🌸夕顔の法要に心を尽くす【源氏物語 55 第4帖21】 源氏は夕顔の四十九日の法要を そっと叡山《えいざん》の法華堂《ほっけどう》で 行なわせることにした。 それはかなり大層なもので、 上流の家の法会《ほうえ》としてあるべきものは 皆用意させたのである。 寺へ納める故人の服も新調したし寄進のものも大きかった。 書写の経巻にも、新しい仏像の装飾にも費用は惜しまれてなかった。 惟光《これみつ》の兄の阿闍梨《あじゃり》は 人格者だといわれている僧で、その人が皆引き受けてしたのである。 源氏の詩文の師をしている 親しい某|文章博士《もんじょうはかせ》を呼んで 源氏は故人を仏に頼む願文《がんもん》を書か…