昭和48年、1973年――私たちが生まれたその年、日本はオイルショックに揺れ、トイレットペーパーが消えるという騒ぎが起きていた。高度経済成長の終焉がささやかれ、社会全体が「豊かさとは何か」を模索し始めていた時代。そんな時代に生を受けた私たちは、“受験戦争の最後の世代”とも呼ばれる世代である。 競争が当たり前だったあの頃 小学校に入る頃には、世の中はすっかり「偏差値」の時代になっていた。中学受験をするかどうか、塾に行くのは当たり前か――そんな話題が家庭内で飛び交っていた。公立か私立かではなく、「どこの塾に通っているか」が子ども同士のステータスになっていた。 私たちの机の上には常に問題集があった。…