姫君がこぢんまりとした美しいふうで、 十三絃《げん》の琴を弾いている髪つき、 顔と髪の接触点の美などの艶《えん》な上品さに大臣が じっと見入っているのを姫君が知って、 恥ずかしそうにからだを少し小さくしている横顔がきれいで、 絃《いと》を押す手つきなどの美しいのも 絵に描いたように思われるのを、 大宮も非常にかわいく思召《おぼしめ》されるふうであった。 姫君はちょっと掻《か》き合わせをした程度で 弾きやめて琴を前のほうへ押し出した。 内大臣は大和琴《やまとごと》を引き寄せて、 律の調子の曲のかえって若々しい気のするものを、 名手であるこの人が、 粗弾《あらび》きに弾き出したのが非常におもしろく…