「翻弄ー盛親と秀忠」上田秀人。 歯科医のかたわら、めちゃくちゃに面白い歴史小説を執筆している著者である。これからは、出版専業で食っていく作家は減ってくるのではないかと思う。二足のわらじ、マルチクリエイター、そういう人が増えてくるのではないか。ま、そんなことを思いながら、この本を読んだ。 ダブル主人公で、長宗我部盛親と徳川秀忠である。この二人には共通点があって「関ケ原で、何もなすすべ無く終わった人」である、ということなのだ。 冒頭で長宗我部盛親は関ケ原の戦いで、これが初陣であった。吉川広家の後詰めを任され、前の吉川勢が動かないので「これだけの大軍だ、いくさは長引くだろう」などとのんきに構えていた…