ながらふる ほどは憂《う》けれど 行きめぐり 今日はその世に 逢ふ心地《ここち》して 桐壺院の御一周忌に藤壺の中宮に手紙を送った源氏。 その中宮のお返事の歌🪷 〜生きながらえておりますのは辛く嫌なことですが 一周忌の今日は、 亡き桐壺院の生きておられた世に 巡り会えるような気がして。 【第10帖 賢木 さかき】 中宮は院の御一周忌をお営みになったのに続いて またあとに法華経《ほけきょう》の八講を催されるはずで いろいろと準備をしておいでになった。 十一月の初めの御命日に雪がひどく降った。 源氏から中宮へ歌が送られた。 別れにし 今日《けふ》は来れども 見し人に 行き逢《あ》ふほどをいつと頼まん…