少年時代が楽しくて仕方なかったわけではない。むしろ劣等感や不安でぐずぐずの少年時代だった気がするが、不幸一色だったわけでもない。 そんな私がなぜ他人の少年時代に惹かれるのかわからないが、私は「少年時代もの」が好きなようだ。さっきそのことに気づいた。 最近投稿したものでいうと。「その本は (第7夜)」「クラスメイトの女子、全員好きでした」 私のその嗜好のルーツとでもいうべき一冊のことを思い出した。若かった頃、立ち読みし始めたら面白くて面白くて、衝動的に買ってしまった。著者の辻仁成さんが何者かも全く知らずに買った。純粋に内容に惹かれて買ってしまった。 それがこのエッセイ集、「そこに僕はいた」 面白…