🌕めぐりきて 手にとるばかり さやけきや 淡路の島の あはと見し月 by 源氏の君 〜都に帰って来て手に取るばかり近くに見える月は あの淡路島を臨んで遥か遠くに眺めた月と同じ月なのだろうか 🌖浮き雲に しばしまがひし 月影の すみはつるよぞ のどけかるべき by 頭中将(義兄ではない別人) 〜浮雲に少しの間隠れていた月の光も 今は澄みきっているように いつまでものどかでありましょう 🌙雲の上の 住みかを捨てて 夜半《よは》の月 いづれの谷に 影隠しけん by 右大弁 〜まだまだご健在であるはずの故院はどこの谷間に お姿をお隠しあそばしてしまわれたのだろう 【源氏物語 第18帖 松風 まつかぜ】…