鉄道旅。時間を潰すのなら車窓が最大の友になるだろう。風景に通暁した路線ならいざ知らず初めてやたまにしか乗らぬ路線ならば物珍しさもある。更にボックスシートの中距離列車で窓際に座れたら旅の楽しさは確約されたようなものだ。次に手を出すのはスマホになる。それがない時代はウォークマンでお気に入りの音楽を聞いていた。そんなカセットテープはとうに消えたがその後手のひらに乗る小さなMP3プレイヤーがその地位に変わり更にスマホに代替わりした。 スマホを手に車窓を流れ行く山々を見ている最初の一音で体に電気が走った。固くてきらびやかな強烈な打鍵だった。ああ、こんなに素敵だったのか。僕はヘッドフォンから流れ来る構築美…