澁澤龍彦的な音楽を考えてみた 大学を卒業して古里を離れるまでに、よく通った書店があった。友人との待ち合わせの場所でもあった。 街の小さな書店だが、個性が光った。人文系の品ぞろえが充実し、単行本の隣に関連の文庫本を置くなど、独特の並べ方がしてあり、目当ての本を手に取る時に新たな本との出合いがあった。当時、田舎では珍しい洋書も置いていた。 澁澤龍彦、伴田良輔、三島由紀夫、コリン・ウィルソン、秋田昌美、種村季弘、稲垣足穂といった作家は、この書店で知った。 特に、澁澤龍彦には、はまった。 1959年にサディズムの語源とされるフランスの作家マルキ・ド・サドの著作「悪徳の栄え」を翻訳出版し、性描写が含まれ…