三浦哲也の『食べたくなる本』の,「おいしいものは身体にいいか」という表題の文章では,料理家の有元葉子の「暮らし」について語られている.本によると,有元は食を含めた生活全般を,「循環」の相から見つめ直そうとしている.土着のものを無駄なく使い切り,その食材のポテンシャルを最大限に発揮させる料理をし,冷蔵庫には不要なものはためない,食材の仕入れからゴミ出しまでをスムーズに循環させる.そこから食だけではなく,生活全体,身体も循環の相で捉えることで暮らしを構築していく.実際,常人離れした潔癖さで生活していた有元のことばが下記である. 大根でも豆でもなんでも、私たちの口にするものはすべて、命を与えられて世…