「中世ヨーロッパ最大の政治対立は、一本の杖をめぐる争いから始まりました。」 神聖ローマ帝国が成立してから約100年、オットー1世が確立した帝国教会政策の矛盾がついに爆発します。「聖職者を任命する権利は誰が持つのか」この一見すると宗教的な問いが、中世ヨーロッパ最大の政治対立である叙任権闘争を引き起こしました。そしてその頂点として1077年に起きたカノッサの屈辱は、皇帝が雪の中で三日三晩、裸足で教皇に許しを乞うという歴史上最も劇的な場面の一つを生み出しました。この対立は単なる宗教と政治の争いではありませんでした。「誰がヨーロッパの最高権威なのか」という、中世世界の根本秩序をめぐる闘いだったのです。…