実家の団地のお向かいの棟に、母親同士が交流のあるご家庭があった。そのご家庭には、私より2学年下の男の子がいた。その子と私の親交はほとんどない。 どういうタイミングで聞かされたか憶えていないのだが、母がお相手のお母さんに聞いた話によると、その男の子にとって私は「あこがれの人」らしかった。「努力の人」ということで。 私は中学時代、野球部の部活を終えて学校から帰宅した後の夜に、毎晩200回ほど「素振り」をしていた。小学生だった彼が自宅からそれをよく目撃していたそうだ。ありがたいお話だったが、それを聞いた時の私は「そんな立派なものじゃないです」と思った。後ろめたいような、ばつの悪さがあった。なぜなら、…