ある時の服部先生の質問に、ある学生が「真理を学ぶ」ためにと答えたところ、先生からは「我々人間に真理など到底知ることはできない、ただ自然界の現象からそこにある法則を見つけるのがせいぜいのところだ。」といった答えを聴いた記憶があります。 今思えば、認識論の模写説とカントの不可知論すなわち構成説の説明だったと思います。先生は何事も正直で神秘主義が一番難しい、わからないところがあると、またその関連かサンスクリット語は不勉強で読めないとも話されていました。『キリスト教の合理性』を訳された頃のことでしょうか。 これも岩波が持ち帰って〔刊行して〕くれれば良かったがと当時言われていました。(今日、岩波文庫に発…