* LGBTQの片隅から 性の多様性を考察する比較的新しい学問領域であるクィア・スタディーズは社会的には1980年代に世界各国のゲイコミュニティが直面したHIV/AIDSという問題を受けて、学問的にはフランス現代思想におけるポスト構造主義の影響の下で成立しました。日本語では「変な」「奇妙な」などと訳される「クィア」という言葉は、もともとは英語圏でゲイ男性に向けられた蔑称でしたが、やがて当事者たちによって戦略的に用いられるようになり、現在では性的マイノリティと呼ばれる当事者全体を包摂する意味を帯びるようになります。 このような経緯からとりわけ様々な性的マイノリティに光を当てていくクィア・スタディ…