この世のどんな悪疫よりも性質(タチ)のわるい病患が、一次大戦終結後のヨーロッパに蔓延った。 共産主義のことである。 マルクス教と言い換えてもよい。 (Wikipediaより、カール・マルクス) イタリアでも、ポルトガルでもアカのカルトは跳梁し、社会を喰い荒らしていたが。とりわけ無惨であったのは、なんといってもハンガリーであったろう。 分類上、中欧となる彼の地では、革命により二重帝国を解消してからものの半年も経たないうちに再度革命が勃発し――どんな因果の間違いだろう、ふと気が付けば狂人が、国の牛耳を執っていた。 シベリアの丸太小屋にでも永遠に隔離しておかるべき、その男の名はベラ・クン若しくはクン…