哲学、文学などの人文学の発展は、継続的な訂正によって進められてきた、と著者は言う。人文学の基盤は言語であり、言語によるいかなる思想であれ訂正を受け入れる契機がある。というよりむしろ哲学の使命は、哲学の体系の訂正可能性を示すことにあるのだと本書では結論している。 共通の言語によって維持される共同体を本書では家族と呼び、家族は訂正可能性によってその姿を変えながら、維持され発展していくとする。本書の後半では、民主主義の社会を家族とみなした場合に、訂正可能性はどのように作用するのか考察されている。 ここで鍵となるのが、ルソーの思想の読解である。民主主義の基礎を論じているとされる「社会契約論」では、個々…