サン・ベネゼ橋から見たアヴィニョン教皇庁 第二部 アヴィニョン 教皇庁の再編 第一章 問題のありか ペトラルカや聖カタリーナ、ヴィラーニなどイタリア人によるアヴィニョン教皇庁への強い反発 その一方、ローマにあっては、伝統的なローマ市貴族の支配下で実質上の教会運営を妨げられていた教皇は、新天地アヴィニョンで、はじめて統治機構においても、現実の統治においても、本来の力量を発揮しうるようになった。 しかも十四世紀のヨーロッパ政治においては、教皇がローマではなくアヴィニョンに在ることが、良好な結果をもたらした。教皇ボニファティウス八世とフランス王うフィリップ四世との紛争の事後処理、バイエルン朝ドイツ皇…