新型コロナに関して、日本でも3回目のワクチン接種が始まっている。このワクチンの開発に当たっても治験(国の承認前の薬剤を患者や健康な人に投与し、安全性と有効性を確かめるための試験のことで、新薬開発のための治療を兼ねた試験を言う)という人体実験が実施され、安全性が十分確立された上で接種が認められたのだと思う。私も近く3回目の接種を受けるのを機会に、医学と人体実験について考えてみた。 イギリスの医学者、エドワード・ジェンナー(1749~1823)が天然痘予防のため、牛痘を少年に接種したのは1796年5月のことである。今から226年前になる。私の中学生時代は、この少年は実の息子だと教えられた。それは誤…