五旬節。ほんのすさびに高等学校の卒業アルバムを開いて見る。吐き気。青春とはグロテスクなものである。 ユダヤ人思想史家アイザイア・バーリンによるジョゼフ・ド・メーストルの思想研究。著者は原典を豊富に引用し乍ら、それらに中立的解釈を施して、総合的検討を行ふ。効果的に挿入される他思想家との比較が、ド・メーストルの独創性を浮彫にしてをり、大変面白い。 その一方で、「ファシズムの起源」という題名を掲げる割に、ファシズムとの連関を示す記述は少ない。二〇世紀前半を生きたユダヤ人にとつては自明の事かも知れぬが、ファシズムに就いてもう少し書くべきだ。ド・メーストルの思想が二〇世紀ファシズムを準備した、斯う云ふ主…