慈しみの女神たち 上 作者:ジョナサン・リテル 集英社 Amazon ★★★★ ナチス・ドイツ時代に法律家・保安部の役人・SS将校を勤め、戦後はフランスでレース工場の支配人になったマクシミリアン・アウエ。その彼が戦時中を回想する。法学博士にしてSS中尉の彼は、独ソ戦開始時のウクライナでユダヤ人虐殺の仕事に従事していた。始めは幕僚部で手伝い程度しかしていなかったが、後に自分でも1人ユダヤ人を殺すことになる。やがてヘマをしたアウエは、前線のあるスターリングラードに飛ばされるのだった。 (……)ロシア人にとってもわたしたちにとっても、人間はなんの値打ちもなく、〈民族〉、国家がすべてであり、その意味で…