社会を揺るがすような大きな事件が起きると、必ずと言ってよいほど、事件を「日本社会の闇」とか、「社会の責任」にする意見が出てきます。未成年の凶悪犯は現代の若者の誰もが抱えている心の病のせいですし、テロ事件は政治の病理が引き起こしたもの、加害者はある意味で社会の犠牲者であり、本当の責任は社会全体にあるのだというわけです。 枕詞は、「普通の青年がなぜ?」です。事件を犯したのは“普通の青年”で、「なぜ罪を犯さざるを得なかったのか」、犯人の“心の闇”に迫り、解明することが再発防止につながるというわけです。何しろ犯人は“普通の青年”ですから。 こうした考え方によれば、テロに対する正しい処方箋はテロリストの…