ナシーム・タレブ

カオスの帝王―惨事から巨万の利益を生み出すウォール街の覇者たち 作者:スコット・パタースン 東洋経済新報社 Amazon 「まぐれ」や「グラックスワン」で有名なナシーム・タレブ氏と彼が関与したヘッジファンド創設者であるスピッツナーゲル氏を中心に、ベル分布ではなく、ベキ状分布で発生する大惨事をどう捉え、どのうように振る舞うべきか、を描いています。 金融のマーケットではベル状、つまり正規分布によってリスクの発生を捉え、管理する（いわゆるVaR,バリューアットリスク）のが通常どこでも使われているリスク管理の手法ですが、たまに発生する大暴落は100年に1度とか1000年に1度とか言われる頻度でしか発生…

1. イントロダクション 「人生はガチャ」という言葉の意味と背景 「人生はガチャ」というフレーズは、現代社会でしばしば耳にするようになりました。この言葉は、人生の出来事がガチャガチャ（カプセルトイ）のように予測不可能で、何が出てくるかは運次第だという考え方を表しています。ガチャガチャとは、コインを入れて回すとカプセルに入ったおもちゃが出てくる機械のことです。どんなおもちゃが出てくるかは運次第であり、その偶然性が楽しさやスリルを生み出します。 このフレーズが広まった背景には、現代社会の不確実性と変化の速さがあります。私たちは多くの選択肢とチャンスに囲まれている一方で、それらの結果を完全に予測する…

新型コロナウイルスと市場の動揺 2020年初頭、新型コロナウイルスが武漢で猛威を振るい始めた頃、世界の市場は予測不可能な波に翻弄されました。その時、投資顧問会社ユニバーサ・インベストメンツは、驚異的な4000％を超えるリターンを叩き出しました。この時、多くの人々が投資から撤退する中、ユニバーサは一体何をしたのでしょうか？大きな利益を生む背景には、ナシーム・タレブの考え方や投資戦略が密接に絡んでいるのです。 ナシーム・タレブと「ブラック・スワン」 タレブは、著書『ブラック・スワン』で示したように、予測不可能で影響力の大きい出来事を重視しました。新型コロナの爆発的な広がりや、それに対する無関心は、…

かつてはFRBの政策に翻弄されたものだが、今では世界の多くが、ワシントンで常に始まる金利の混乱に抵抗している。 Henry Johnston, an RT editor RT 23 Feb, 2024 19:33何十年もの間、米国の金利上昇の予感は、新興市場に運命を託す人々の心を恐怖に陥れてきた。夜が昼を追うように、米国の引き締め政策は世界中の発展途上国の金融混乱につながった。米連邦準備制度理事会（FRB）が2022年3月に開始した引き締めサイクルから撤退する準備が整った今、驚くべき事実を把握する時かもしれない。しかし、このことの意味は、タイのバーツやブラジルのレアルをパニックに陥れるトレーダ…