韓国作家ピョン・ヘヨンによる長編小説『ホール』。最初からどんどん引き込まれ、読む手が止まらなかった。ある交通事故をきっかけに、人生が転落していく男の物語だが、本当の原因は、別のところにあった。後半、徐々に怖さを増すホラー小説ともいえる。 ホール (韓国女性文学シリーズ5)作者:ピョン・ヘヨン書肆侃侃房Amazon 「ホール」というと、地表の下にあるマンホールや、掘り起こされた穴を想像してしまうが、それらは暗闇や不安、さらには死を象徴する存在でもある。決して救われる物語ではなだろうということも予想できてしまう。 主人公の男性オギは、妻とのドライブ中に事故に遭い、全身麻痺となる。妻は先に旅立ってい…