オレステイア三部作を、乱暴でおおざっぱに簡約してしまうと、このようなまとめになりかねない。第一部では、悪妻による不倫と夫殺し、第二部では、息子による母殺しという復讐、第三部では、母殺しという罪の赦し。しかし、ギリシア悲劇はギリシア神話から題材を得ており、オレステイア三部作という長編もまた、その一部を成している。アイスキュロスが想定したギリシアの観客は、神話を知っていたはずであり、われわれもまた、この三部作を読むためには、三部作の前日譚をある程度は知っておく必要がある。 オレステイア三部作が単なる「罪→復讐→赦し」という一回性の物語でなく、第一部から罪と呪いと復讐が一式となって繰り返されていると…