男派と女派 作家の沢木耕太郎は神田の鮨屋「鶴八」の親方に「いままでの人生で、大事なことというのは男と女のどちらに教えてもらいましたか」と訊いた。「やっぱり男かな」と親方は答えた。「沢木さんはどうなんです」沢木は「僕の場合は・・女のような気がする」 そして沢木は無頼派と言われた坂口安吾、太宰治、檀一雄の3人についてこのように語っている。 「・・(女出入りの多かった)檀一雄は・・・人を恋ながら、孤独を恋う。そうした彼は彼として不変であり、女たちと暮らすことによって変わることがなかった。・・太宰治も同じであったように思われる・・ 一方、三千代と暮らしはじめた坂口安吾は、自分が変わっていくことを認める…