声をトレーニングしていくと、指導者によってどこに声をあてるかということで違いが出てきます。「頭頂部に響かせて」「糸で引っ張られているように」「マスケラ」「軟口蓋」「前にだして」などさまざまですが、初心者はまずは胸に声をあてるということを意識してトレーニングしてみるといいと思います。ジャンルは考えず、その人がもっている声の基礎力という意味では胸に響かせるというのはとても重要です。声の基礎力の土台といってもいい。 声楽というジャンルが生まれたころは、この胸の発声というのはとても重要視されていました。例えば同じ音を早く歌うマルテッラートという技法があります。現代ではバロック作品を歌う歌手やカウンター…