先日、黒岩涙香の「白髪鬼」を衝動買いしました。黒岩涙香は、明治時代に沢山の海外小説を日本人向けに翻案した人です。「噫(ああ)無情」(レ・ミゼラブル)、「巌窟王」(モンテ・クリスト伯)など、黒岩涙香による邦題はとても印象深いです。この「白髪鬼」もイギリスの小説「ヴェンデッタ(復讐)」の翻案です。名前のとおり復讐の鬼と化した男の物語です。私は黒岩涙香の小説は、翻案ではないオリジナルの「無惨」を読んだきりです。明治時代の探偵小説なのにとても面白くて、文語体で書かれた文章が慣れるとリズムが心地良く、魅了されたのを覚えています。江戸川乱歩も黒岩涙香に傾倒していたことが有名で、涙香が翻案した「幽霊塔」を再…