ロシア語のことわざを眺めている。日本語にも同じ意味のことわざがあるなと思えるものがいくつもあるが、そのズレやちがいがおもしろく感じる。 たとえば、「猫にとっていつもバター祭りがあるとはかぎらない」というのがある。「バター祭り」とはロシアの春の祭り、マースレニッツァのことで、カトリック文化圏のカーニヴァル(謝肉祭)に当たる。ロシアでは、猫はバターが大好物と見られている(日本の猫もバターが嫌いなことはないと思うが……)。ここでは、猫を例に出して、人生、ご馳走にありついてお祭り騒ぎをしているときばかりではないぞ、と言いたいらしい。日本語だと、さしずめ「楽あれば苦あり」というところか。 あるいは、「最…