一条真也です。『モダニズム・ミステリの時代』長山靖生著(河出書房新社)を読みました。「探偵小説が新感覚だった頃」というサブタイトルがついており、1920年代に勃興・隆盛するモダニズム文学と探偵小説。怪奇、犯罪、科学といったテーマを軸に、相互に影響しあう熱い磁場を活写した本です。1962年生まれの著者は、本業である歯科医の仕事のかたわらに近代日本の文化史・思想史から、文芸評論や現代社会論まで、幅広く執筆活動を行っています。ブログ『日本SF精神史【完全版】』、ブログ『奇異譚とユートピア』で紹介した本に続いて、著者の新刊を読みました。 本書の帯 本書のカバー表紙には古賀春江「海」1929年(東京国立…