カバー 日下 弘 ご存じの方は、釈迦に説法だろうが、創元推理文庫は、“見返し”というのか“扉”というのか、存じ上げないが、そこの部分に作品(内容)紹介がある。本書については、わたくしは、それをあえて見ずに、読んだ。下手な先入観なしに読むことができて、良かった。 主人公は二人の男女。前篇と後篇のパートに分かれている筋立てで、前篇は男性の視点、後篇は女性からの視点で成り立っている。視点が変われば、お話の組み立てもすっかり変わってしまうという構成が巧みだ。内容は、詳らかにはしないが、当時の政治世相を如実に顕わしているようで、日本人には欠けている執着粘着具合が明瞭で、ある意味合理てき。そして最後の頁ま…