「おっはよー!」 そんな声が朝の下駄箱前に響き渡る。登校してきた生徒たちによってあふれかえってる中、ひときわ大きくそういったのは彼だ。そしてその相手は……育代だ。 大きな声に思わず彼の方を見た育代。けど、別に何か返すことはなく赤い上履きをしっかりと履いて静かに歩き出す。そんな育代の背中を彼は満足げに見つめてる。 「よう!」 そんな風にまた別の日にあいさつされた。育代は困惑してる。実際なんでそんな事をやってくるのか……それがわかんないからだ。だって別に関係が改善された……わけじゃない。学校では相変わらずに育代は彼の事を無視してる。けどそれでも……彼は毎朝挨拶してくるし、なんか話しかけてくる頻度も…