1962年生まれ。歯科医の傍ら歴史家として活動。 明治〜戦前の新聞、雑誌文化への造詣が特に深い。 著作に『偽史冒険世界 カルト本の百年』(ちくま文庫)、『明治・大正・昭和 日米架空戦記集成』(中公文庫)、『人はなぜ歴史を偽造するのか』(新潮社)、『懐かしい未来―甦る明治・大正・昭和の未来小説』(中央公論新社)、『「人間嫌い」の言い分』(光文社新書)、『若者はなぜ「決められない」か』(ちくま新書)、『父親革命』(新潮社)ほか多数。
一条真也です。『モダニズム・ミステリの時代』長山靖生著(河出書房新社)を読みました。「探偵小説が新感覚だった頃」というサブタイトルがついており、1920年代に勃興・隆盛するモダニズム文学と探偵小説。怪奇、犯罪、科学といったテーマを軸に、相互に影響しあう熱い磁場を活写した本です。1962年生まれの著者は、本業である歯科医の仕事のかたわらに近代日本の文化史・思想史から、文芸評論や現代社会論まで、幅広く執筆活動を行っています。ブログ『日本SF精神史【完全版】』、ブログ『奇異譚とユートピア』で紹介した本に続いて、著者の新刊を読みました。 本書の帯 本書のカバー表紙には古賀春江「海」1929年(東京国立…
一条真也です。『奇異譚とユートピア』長山靖生著(中央公論新社)を紹介します。「近代日本驚異〈SF〉小説史」というサブタイトルがついており、明治期以降、ヴェルヌやロビダの影響を受けながらも、独自に発展した科学小説や政治小説の夢想力と生成過程を当時の世相から考察した本です。著者は評論家・歯学博士。1962年、茨城県生まれ。91年に鶴見大学大学院を修了。学生時代から文芸評論家として活動。横田順彌らと古典SF研究会を創設し、初代会長に就任。大衆小説・科学小説・思想史研究・家族や若者の問題など、多ジャンルにまたがる旺盛な執筆活動を行っています。ブログ『日本SF精神史【完全版】』で紹介した本に続いて、ハー…
一条真也です。『日本SF精神史【完全版】』長山靖生著(河出書房新社)を読みました。1962年生まれの著者は、本業である歯科医の仕事のかたわらに近代日本の文化史・思想史から、文芸評論や現代社会論まで、幅広く執筆活動を行っています。ブログ『『論語』でまともな親になる』で紹介した本をはじめ、わたしは著者の本を数冊読んでいますが、オカルトやSFなど、わたしの関心分野と重なる面も多く、非常に面白い本を書かれています。本書もとても面白く読みました。 本書の帯 本書のカバー装画には、小杉未覚筆の押川春浪「鉄車王国」(「冒険世界」明治43年4月増刊号)の口絵が使われ、帯には「幕末・明治から戦後、そして現在まで…
蔵書の苦しみ (光文社新書)作者:岡崎 武志発売日: 2013/09/06メディア: Kindle版 以前から気になってた本。現在進行形で苦しんでいるので、思わず借りてきてしまった。なんというか、人間のリミットを試されるような話だなw 私の現在の蔵書量が推定5000冊だけど、このくらいだとまだ大丈夫なんだな。とはいえ、私の場合、自室という収納可能場所が狭い問題があるわけだが… 山ほど蔵書を持つ人の悲喜こもごもというか、苦闘を語る。ある程度以上になると、完全にコントロール不能になるんだよね。あと、やはり本棚に並べて、背表紙を見られるようにしておかないと、その本があるかどうかも分からなくなる。熊本…
社会学部でメディアとかポピュラー・カルチャーに関して興味持ってる新入生に向けて、2012~2021年刊行の新書200選、ということです(たぶん、200冊あるはず) 加藤秀俊『社会学:わたしと世間』中公新書、2018年 小熊英二『日本社会のしくみ:雇用・教育・福祉の歴史社会学』講談社現代新書、2019年 大澤真幸『社会学史』講談社現代新書、2019年 松田美佐『うわさとは何か:ネットで変容する「最も古いメディア」』中公新書、2014年 山本昭宏『核と日本人:ヒロシマ・ゴジラ・フクシマ』中公新書、2015年山本昭宏『戦後民主主義:現代日本を創った思想と文化』中公新書、2021年山本昭宏『原子力の精…
変格ミステリ作家クラブは、自作のアレって多分変格だよな、気がついたらついつい変なもの書いてるな、変なものが大好きだな、自分、もしかしたら変態だな、などの自覚症状をひとつでも持つ(いちおうプロの)物書きによる、当面何のノルマもない、メンバーを名乗れることだけが特典のユニットです。 ただ親睦を深めるだけでもいいのですが、何か目標があったほうがなおよかろうということで、ひとまずパノラマ島の建設を目指したいと思います。 発足は20年8月13日。 言い出しっぺの片割れである竹本が世話係を担当しておりますので、加入希望の方はツイッターなりリアルなりで気軽にお声かけください。これまでまるでおつきあいのなかっ…
ゴジラとエヴァンゲリオンをより深く知りたい方はオススメ。 Kindle Unlimitedが30日無料キャンペーン中なので実質タダで読めるよ。 ゴジラとエヴァンゲリオン(新潮新書) 作者:長山 靖生 発売日: 2016/07/22 メディア: Kindle版 そもそもゴジラって何だっけ? どこからやってきて何故日本ばかり襲ってくるの? エヴァンゲリオンって何であんなに難解な内容なの? などなど。 印象としては詳細なWikipediaという感じ。 若干読みにくさがあったのでかなり流し読みしてしまった。 良かった点を挙げるとしたら2点。 1つ目は、エヴァンゲリオンについての解説が分かりやすかったこ…
2020年読書記録のまとめ。 昨年は、例年になくたくさんの本を読みました。数えてみると、去年の倍。たくさん読んだ分、心に残った本も多かった一年でした。 しかし、その割にはあまり感想を書けていない&ブログの更新が出来ていない。『授乳』(村田沙耶香著)や『家畜化という進化ー人間はいかに動物を変えたか』(リチャード・C・フランシス著)など、印象深かった本の感想すら書けていない。今年は頑張る。 こうやって見返すと、相変わらず小説中心の読書だなと思う。アニメ『PSYCHO-PASS(1期)』に、はまりにはまっていたことがばれてしまう……2020年の読書メーター読んだ本の数:125読んだページ数:4067…
特別増大号と銘打たれてページ数も増え値段もいつもより高いのですが、特に追悼特集や緊急特集や新年特集があったわけではなく、何のための増大号なのかわかりませんでした。「回樹」斜線堂有紀 ★★★☆☆ ――「尋常寺律さん。あなたには恋人である千見寺初露さんの遺体を盗んだ容疑がかけられています。間違いありませんか?」「はい、間違いありません」。回樹とは五年前に秋田の湿原に出現した、全長一キロ程度の人型の物体だ。すぐさま調査隊が組まれたが、調査は難航した。どんなものを用いても回樹は損なわれず、欠片を分析することも出来なかった。性質が明らかになったのは一か月後だ。調査中に急死した研究者が回樹に吸収されたのだ…
ゴジラモスラキングギドラ大怪獣総攻撃 東宝DVD名作セレクション 発売日: 2016/06/15 メディア: DVD こんにちわ、だるまです! 今回、紹介するのは少し古めの2001年、金子修介監督作「ゴジラ モスラ キングギドラ 大怪獣総攻撃」通称“GMK”です。 ゴジラ映画といえば、庵野秀明総監督の「シン・ゴジラ」に始まり、ハリウッド版の2作品の大ヒットや、近く「ゴジラVSキングコング(仮称)」の制作決定していたりと、非常に話題になっています。(歴代ゴジラシリーズを簡潔に紹介した良書です↓) ゴジラとエヴァンゲリオン (新潮新書) 作者:長山 靖生 発売日: 2016/07/14 メディア:…
2014年2月、西方猫耳教会から刊行されたバーナード・ショー(1856~1950)の戯曲。翻訳は松村みね子(片山廣子)。表紙は堀内薫「水性感情」。盛林堂ミステリアス文庫。 目次 訳者に 森林太郎、佐佐木信綱 船長ブラスバオンドの改宗 第一幕 第二幕 第三幕 訳者あとがき バーナード・ショウと大正期の思想潮流 長山靖生花ある家へ――片山廣子の短歌について 石川美南 NDLで検索Amazonで検索日本の古本屋で検索ヤフオクで検索
「ほうかべ」と読む。女優山之内すずの母方の姓だそうだ。丹波に多く,波々迦(ははか)というウワミズザクラを使った亀卜に従事した職業あるいは同名の地名が起源である。珍しい姓の割には近畿圏に集中してそれなりの数だ。 -関連エントリー--難読名字(その110):正代→https://akamac.hatenablog.com/entry/2020/09/29/152721--難読名字(その109):孝忠→https://akamac.hatenablog.com/entry/2020/08/28/093500--難読名字(その108):野老→https://akamac.hatenablog.com/…
大阪公立大学の英語表記 University of Osaka 問題で,大阪大学大学院生が高知大学,高知県立大学,長崎大学,長崎県立大学,島根大学,島根県立大学にネットで爆破予告をして逮捕(再逮捕)されたというニュースがあった。 大阪大学 Osaka University に類似した大阪公立大学 University of Osaka の表記は,高知大学 Kochi University,高知県立大学 University of Kochi,長崎大学 Nagasaki University,長崎県立大学 University of Nagasaki,島根大学 Shimane Universit…
「〈SFマガジン〉中国SF特集号にあたって」姚海軍/泊功訳 中国のSF雑誌『科幻世界』の副主編による特集解説。掲載されている三人の作家の簡単な紹介。 「生存実験」王晋康《ワン・ジンカン》/大久保洋子訳(生存实验,王晋康,2002)★★★☆☆ ――天堂には六十人の子どもがいる。わたしは王麗英。みんなには英姉ちゃんと呼ばれている。それから白い肌のジョージ、黒い肌のサブリ、黄色い肌の大川良子……わたしが一番年上だけど、一番下のクーンツとは一時間しか変わらない。若博ママはみんなのママだ。でも本当のママじゃない。鉄のからだでできている。わたしたしは毎日ママがくれる「マナ」を食べている。天堂の外は空気が薄…
「古史古伝」と呼ばれる文献群がある。 一言では、「古事記・日本書紀以前の書」として紹介されることが多い。実際には近世から近代にかけて書かれた偽書ばかりなのだが、「正史からは抹消された真実の歴史が記された書物」だという触れ込みで、歴史のロマンを掻き立てるアイテムの一つとして時おり言及されることがある。 その古史古伝の中で一番有名なものが『竹内文書』だ*1。これは天津教という神道系新宗教の教主だった竹内巨麿という人物が、先祖伝来の神宝として公開していた文献類の総称である。第25代天皇の武烈天皇が、日本の真の歴史を伝える文書を臣下の平群真鳥(武内宿禰の孫)に託し、それが竹内家に代々守り伝えられたもの…