【あらまし】 アウシュビッツ収容の司令官ルドルフ・フェルディナント・ヘスとその一家の話。実話に基づく。なお、ナチス副総裁のヘスとは、別人物である。 ヘス一家は、収容所の隣に広大な屋敷を構えている。広い庭園があり、花や野菜を育て、プールや温室まで完備。夫婦には5人の子どもがいて、すくすく育っている。休日には、湖で水遊び。夫の誕生日には、サプライズでボートをプレゼント。絵に描いたような幸せな生活である。 しかし、妻が身に付けている毛皮のコートや宝石はユダヤ人から没収したもの。夫は、いかに効率的に「荷物」を焼却するかに腐心している。収容所の空は、夜な夜な赤く燃え上がり、悲鳴がこだまする。 やがて夫は…