製靴会社の重役・権藤のもとに「子供を預かった、身代金3000万円を払え」という脅迫電話がかかってくる。犯人が誤って権藤の運転手の息子を誘拐したことが判明するが、犯人は権藤に払わなければ子供を殺すと脅す。会社を自分のものにしようと画策していた権藤にとって3000万円を支払えば、身の破滅につながる。身代金を払うべきか苦悩する権藤。一方、警察は犯人が高台の権藤の家が見える範囲に住んでいるとみて、懸命に捜査を進めていた。 黒澤明監督の1963年の作品『天国と地獄』は、エド・マクベインの87分署シリーズの一編『キングの身代金』を原作に、黒澤とその脚本チーム(小国英雄、菊島隆三、久板栄二郎)が翻案したスリ…