巨匠手塚治虫が「ブラック・ジャック」「ドン・ドラキュラ」
に続いて週刊少年チャンピオンで連載した少年漫画。
どんな演劇のどんな役も完璧に代役をつとめる代役専門役者で怪盗の通称「七色いんこ」が活躍する。
連載中巨匠当てへのファンレターではあまり反応が無く、知名度では「ブラック・ジャック」などに劣るが、いんこと一緒に国際アニメ祭を訪れるという設定のレポートを描いたりと、巨匠自身の作品への愛着は強かったという。
2003〜2004年放送のTVアニメ「鉄腕アトム」にも客演した。
単行本各話はそれぞれ著名な演劇がモチーフに使われ、秋田書店版のコミックスには各演目についての簡単なあらすじと解説がついており、あれで舞台演劇の世界を知った子供も多かったのではないか。
最終巻は、代役専門の彼が初めて自分を演じ、役者として演じることである巨悪と戦う。
その勇敢な演技に心動かされない漫画読者は居ないだろう。
まちがいなく氏の最高傑作のひとつである。