前回、万国宗教会議での「仏教の要旨並びに因果法」(‘The Law of Cause and Effect, as Taught by Buddha’)について述べました。原因と結果の因果論は近代科学の考え方としても知られていますが、近代科学では主観(心・感覚と感情)を排除した原因と結果の法則を探究します。釈宗演の説いた仏教論では、心を原因として因果論を説いたのです。 そこで当時求められていた宗教と科学の統一を実現する真理として仏教に期待が持たれたのです。それでは今回の内容に入ります。 ①宗演師とポール・ケーラスの出会い ドイツ生まれの哲学者・宗教啓蒙家のポール・ケーラスは、釈宗演師の「仏陀の…