『朝』第44号(2023.3.) 老舗の文芸同人誌『朝』の最新号をご恵送いただいた。過去になにひとつお返しめいたことをしたためしがない。じつに長い年月にわたってだ。まことに心苦しき限りだ。 お返しする仕事が私になかったからだ。あればお返ししている。 ずうっと昔のこと、『朝』の同人には宇尾房子さん、千田佳代さんら、パワフルな女傑小説家が顔を揃えておいでだった。もう一人の女流小説家である小川悦子さんと、私はそれ以前から親しくさせていただいていたご縁で、彼女らお姉さんトリオが私たちの同人誌にもご加入くださった。男所帯の理屈っぽい雑誌に、あでやかで色彩豊富な女性作家の小説が載るようになった。脂が乗って…