【おばさんの反撃】 「坂上郎女も反撃せざるを得ません。彼女は、こう反撃しました。 大伴坂上郎女の歌一首 心には 忘るる日なく 思へども 人の言(こと)こそ 繁(しげ)き君にあれ(相聞 巻四の六四七) 坂上郎女は、『相手への思いが途絶えた日はなかった』と応じているのです。そう応答することによって、下句の『人の言こそ 繁き君にあれ』が生きてくるのです。つまり、逢わないのはワタシの方の気持が冷めたからではなく、アナタに関わる『人の言』のせいですよ、と。相手が恋人をなじる言い方で責めてきましたから、それを逆手にとって、女が男の不誠実をなじる言い方で反撃したのでしょう。・・・おばさんは言います。駿河麻呂…