【儒教の浸透と家父長権の確立】 「・・・桜井満(さくらいみつる)(一九三三-九五)は『両親をオモチチ・アモシシという表現は、・・・母系制時代の呼称の名残りとみられる古い表現形式であり、チチハハというのは、家父長権(かふちょうけん)の確立とかかわる新しい表現形式と認めてよいであろう』(『万葉集の風土』)と述べ・・・さらに・・・この『オモチチ』『アモシシ』という表現が、東山道(とうさんどう)の防人歌(さきもりのうた)のみに登場することに着目・・・東山道よりも東海道の方にいち早く家父長権という考え方が浸透していったのではないか、と推定したのです。・・・用例の偏りから・・・当時後進的地域であったと考え…