第八章 怨恨と揶揄 【それは、一つの揶揄なのだが……?】 「本章の『怨恨と揶揄』というテーマで私が選んだのは、次の歌です。・・・巻四に収載されている大伴駿河麻呂(おほとものするがまろ)と大伴坂上郎女(おほとものさかのうへのいらつめ)の間で交わされた歌です。この四首は、書簡によって往復されたものであると考えられています。これがいつのやり取りかについては議論もあるのですが、巻四の配列から考えて、今日では天平五-六(七三三-四)年と推定するのが通説です。 (相聞 巻四の六四六)(同 同六四七)(同 同六四八)(同 同六四九)(いずれも歌は省略) ここでも、かなり思い切った訳をつけました・・・」 【駿…